ホーム > 海図のはなし > 海図の図載内容

海図の図載内容

1枚の海図をひろげたとき、どのようなものが図載してあるか、それを正しく理解することが大事なことです。海図上には、決められた海図図式に従って、次の内容のものが詳細に図載してあります。

表題

海図の表題は、その内容を表示するものとして、使用する海面を妨げないようできるだけ陸部の余白を利用し、しかも目立つ位置を選んで記載してあります。表題には、地方名、図名、縮尺、水深・高さ(高低)の単位、必要ならば図法名、測量年及び資料に出所、潮の記事、その他使用にあたっての注意記事が記載されており、和文表題の次に英文表題を併記してあります。

刊行年月日

海図の下欄中央部に刊行年月が記載してあります。

方位の表示

方位は図上の任意の2点を結ぶ直線と経線とのなす角で、この方位は地軸を真北としたものであり、真方位(True  Bearing)といいます。これはジャイロコンパス(Gyro Compass)の示す方位で、磁気コンパス(Magnetic Compass)が示す方位は磁針方位(Magnetic Bearing)です。海図にはコンパス図(compass rose)が2~4個記載してありますが、これの外側の目盛圏が真方位圏で、真方位からの方位を測るときに使い、内側の目盛圏は磁針方位圏で磁針方位を示しています。

経・緯度の表示

海図の内輪郭線の目盛の区画を見ると、度数、分数が記載してあります。それはさらに分割しているので、その単位を知る必要があります。縮尺によって分割の方法は多少違います。例えば1/20万程度の縮尺の海岸図は5分ごとに数字が併記してあり、それを5分割して1分単位の目盛になっています。その1分をさらに5分割していますから最小目盛は12秒ということがわかります。経緯度の数値を読むときは、区画がいかに分割されているかをまず知ることが必要です。

このページの先頭へ戻る

海部の表示

水深
海部に描いてある多数の小さい数字は、その位置における深さを示すもので、これは海図の中で最も重要なものです。この数字は、航海上の安全性から海面がこの面から下がることがほとんどまれな面(わが国では最低水面といっています)からの値で、図上の水深は最浅値を示しているといってよいでしょう。
底質
海底の地質または堆積物などをいい、決められた略語で記載してあります。底質は港湾、泊地、避泊地の錨かきの良否を表示する重要なものです。
等深線
海底の起伏の状態を見易くするためのもので、山の等高線に相当します。等深線は、連続する細い実線で表し、通常2m、5m、10m、20m及び200mの線が描かれています。 等深線は、航海の安全を考え、それと等値の水深よりも常に深い側に描かれています。  ヨット・モーターボート用としては2m、5mの等深線の表示に気をつける必要があります。
航路標識
灯台、灯標、灯柱、灯浮標、無線標識局、レーダ局、ロラン局などを言います。  航路標識の中で最も重要なものは、大洋から接近するとき初認の目標として用いる灯台で、構造も堅固で、光力、光達距離ともに大きく、沿岸航海用または港湾、漁港に入港するときに使うものは、前者に比べて規模が小さくなっています。
各灯台は、相互の判別を容易にするため、灯色、灯質、周期など固有の様式を持っています。
潮流矢符
海の測量では水深測量のとき潮流測定が行われ、その成果は図上に記入されます。激潮や渦流は強い潮流が狭水道から流出するときできるもので、実際の場合には、潮汐現象の生ずる時間や気象との関係で、必ずしも図示の現象を認められるとは限りません。流速は大潮期の最強流速をノットで表示しています。
海底危険物
サンドウェーブ、沈船、魚礁、海底線、海底輸送管、水中障害物などを記載してあります。
海上区域
港界、港区界、航路界、検疫錨地、投錨禁止区域、航泊禁止区域、土砂捨場、海上交通安全法の航路などを記載してあります。
このページの先頭へ戻る

陸部の表示

岸線
海岸線の性状は、港泊図では非常に詳細に記載していますが、小縮尺の図になると区別せず、実線で記載してあります。
地形
起伏を表現するため、地形図などを資料として等高線に地勢線(フォームライン)式を加味した表現方法で描画してあります。その他、山高、著樹、河川、滝など必要なものを記載してあります。
地物
道路、鉄道、架空線、橋など沿岸付近のものについて記載してあります。
建造物
港湾施設、海事関係官署、工場、神社、仏閣、病院、郵便局、学校などは、施設として使用対象のもの、また目標物としての使用対象のもの、これらは大縮尺の海図に記載してあります。煙突、塔、タンクなどは必要に応じて、比較的小縮尺の図にも描いてあります。
このページの先頭へ戻る

地名

海図に記載する地名は、その目的から航海者が必要なものを優先しています。船位測定のため重要な岬、島、山などの陸部の地名、航行の障害となる浅瀬や暗礁の名称、港湾、海峡、水道など、いずれもそれぞれ字体、字の大きさを変えて読みやすく記載してあります。

海図ネットショップ